慢性的な肩痛には、筋疲労や血行障害、自律神経の乱れなどから起こる「肩こり」や、「肩関節周囲炎」「腱板断裂」「インピンジメント」のように少しずつ炎症や損傷を繰り返し、痛みになるものなど、様々な症状が見られます。
肩こりとは
肩こりとは正式な障病名ではなく、筋肉の緊張や、そこからくる血液循環の悪化が原因で首肩〜背部にかけての不快を感じる症状の総称です。
肩こりの原因
人の頭の重さは、体重に対して約10%ほどの重さと言われています。
その重たい頭を支えているのが、背骨や首肩周りの筋肉です。
姿勢が悪く背中が丸まって頭が前に出ていると、背骨で支えられない頭を首肩周りの筋肉が頑張って支えることになるため筋肉が疲労してしまいます。
また、日本人は欧米の人に比べると頭の大きさのわりに首肩周りの骨格や筋肉がきゃしゃにできているため、日本人は肩こりを起こしやすいと言われています。
スマホやPC作業に注意!
長時間の細かい手作業やスマホ操作、ゲーム、デスクワークは、特に多い肩こりの原因です。
これらの作業をするときはほとんどの人が、肩を少し前にすぼめ、頭を前に突き出したり下を向く姿勢をとりがちです。
このような姿勢が続くと首肩周りや背中の筋肉が疲労したり、筋肉が固くなります。その固まった筋肉で血管や神経を圧迫し、血行障害や神経症状が現れ、痛みやしびれが出たり、さらに筋肉が固まっていきます。
また、これらの作業で目をたくさん使うと、眼球を動かす筋肉である後頭下筋群(後頭部~第1、第2頸椎にある筋肉)が疲労し固くなります。眼精疲労も首肩こりの大きな原因になるのです。
ストレスと肩こり
ストレスの種類や原因はたくさんありますが、精神的ストレスがたまると自律神経が乱れて交感神経が優位になり、血管が収縮して血行が悪くなります。
交感神経が優位になり副交感神経が働きにくくなることで、夜なかなか寝付けなかったり眠りが浅くなります。
また、脳が受けたストレス情報は神経を伝わり筋肉を緊張させます。このような状態が続くことで疲れが溜まったり筋肉が固まり、首肩こりの症状が出てくるのです。
首肩(背中)痛には病気が隠れていることも・・・
首肩や背中の痛みの中には、重篤な病気が隠れていることもあります。普段と違う痛みや激痛、明らかな外傷性の原因などがある方は、一度病院を受診してみて下さい。
主な病気の症状
この痛みは病気・・・?
主な病気の症状例
■狭心症、心筋梗塞
胸痛、左肩痛、歯の痛み、下顎の痛み、喉の痛み、後頭部痛
■気胸
初期症状 → 胸痛、肩・鎖骨周りの痛み、背部痛、咳、息苦しさ
悪化、重度 → 強い胸痛、突然の胸痛、呼吸困難、咳
■胆のう炎
右肋骨やみぞおちの痛み、悪化してくると右肩〜背部にかけての痛み
■脊髄腫瘍(頸髄)
首痛、腕〜手のしびれ・感覚麻痺、ふらつき
■後縦靭帯、黄色靭帯骨化症
首や肩甲骨周りの痛み・しびれ、手足の痛み・しびれ、感覚障害、運動障害、排尿障害
■脳脊髄液漏出症(別名あり)
起立性頭痛、頚部痛、全身倦怠感、めまい、吐き気、耳鳴り、うつ症状
最近では子供でも首肩こりを訴える子が増えてきています。
塾での勉強やオンライン授業などで、パソコンやタブレットを使うことが増えていたり、スマホやゲーム操作での姿勢の不慮、外で遊ぶことが減ったための運動不足などが主な原因ではないでしょうか。
しかし、子供の首肩痛の中にも上記のような病気が隠れていることがあります。
特に小学生くらいまでの子供は、体の不調や痛みをうまく伝えられない子もたくさんいるので、大人が注意して観察をしてあげるようにして下さい。
痛みの他にも、発熱や腫れがみられる際は病院へ行くようにして下さい!
- 普段は気にならないのに原因不明で痛みが気になりだした
- いつもの首肩こりの痛みとはちょっと違う
- 急な激痛、冷や汗、吐き気
- なかなか痛みが良くならない、悪化していく
- 呼吸時痛、発熱、食欲不振などがある
- 交通事故、転倒、ジェットコースターなど明らかな外傷性の原因がある
※急な激痛、冷や汗、吐き気、息苦しさ、胸痛などがある場合は救急車を呼んで下さい!
予防・セルフケア
やってみても改善しない方や痛みのある方はお気軽にご相談下さい!