四十肩・五十肩(以下、五十肩と表記)とは、医学的には肩関節周囲炎のことです。
好発年齢である40歳〜60歳代の人が、肩関節周囲組織の退行性変化を基盤として明らかな原因なしに発症し、肩関節の痛みと運動障害を認める疾患の俗称なのです。
五十肩にはこのような症状があります。
他にも様々な症状があり、筋肉や腱、靭帯、滑液包、関節包、関節唇などが炎症を起こすことで五十肩へと移行します。
それらの症状が起きる根本的な原因として、下記のような負のサイクルがみられます。
また、肩関節周辺だけでなく体幹部、上肢、骨盤、下肢の不調が肩関節に影響を及ぼしていることもあります!
五十肩は、
“何の症状が痛みの原因なのか?”
“その症状が起きた根本的な原因は何なか?”
“負のサイクルの中のどこにどんなアプローチをすれば改善するのか?”
が人によって違います。
しっかりと身体の状態や普段の状態をチェクしてもらい、適切な改善をしていきましょう。
では、ここから少し肩関節の構造について説明をしていきます!
肩には5つの関節があります。
この中で、肩甲上腕関節が肩関節と呼ばれる関節になります。
肩関節は、上腕骨・鎖骨・肩甲骨の3つの骨から構成されていて、それぞれの骨がバラバラにならないように靭帯でとめられています。
肩の動きは8種類に分類されます。
5つの関節が、8種類の動き全てにおいて正常に機能しないと、上肢はスムーズに動きません。
「スムーズに動かない」を繰り返すことで小さな炎症を繰り返し、肩関節周囲炎へと発展していきます。
(※肩関節がスムーズに動くには、3つの骨、5つの関節の他にも、体幹、骨盤、上肢、下肢など、身体全体が正しくスムーズに動く必要があります。)
球関節 ・・・ 片方の関節面が球状(上腕骨頭)、もう一方の関節面はカップ状のくぼみの形状(関節窩)をしていて、そのくぼみに球状の骨頭がはまっています。
肩関節の関節窩は非常に小さくはまりが浅いため安定性には欠けますが、その分関節の可動域が広く、人の関節の中で一番と多方向に大きく動きのある関節です。
関節唇 ・・・ 関節窩の縁を取り囲む線維性の結合組織で、関節窩に収まる骨頭を安定させたり、クッションの役割をしています。
関節包 ・・・ 薄い繊維状の靭帯の集まりで、関節全体を覆い上腕骨頭を関節窩に接続させ安定させています。
滑液包 ・・・ 筋肉や靭帯を保護し、また関節の動きを円滑にしています。
腱板(ローテーターカフ/インナーマッスル) ・・・ 棘上筋、蕀下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋があり、上腕骨の骨頭を関節窩に引き寄せ安定させています。
アウターマッスル ・・・ ローテーターカフがしっかりと機能することで、アウターマッスルが効率よく働くことができます。
このバランスが崩れると肩関節の安定性がなくなり、痛みや炎症の原因となります。
五十肩はこのように大きく3期に分類することができ、それぞれのタイミングでやるべきリ治療やリハビリ、処置が変わってきます。
それらを見極め正しく対応することで、早期回復へとつながります。
五十肩を放っておくと、凍結肩へと移行することがあります。
凍結肩とは、炎症を繰り返すことで関節包の炎症が悪化し固まってしまい、関節を動かせなくなってしまう状態です。
そうなる前に早めに病院や治療院へ行き、治療やリハビリを開始しましょう!
五十肩と混合されやすい疾患の中でも一番注意が必要なのが「腱板断裂」です。
患者さんの数も非常に多く、放置しておくと避けた部分が拡大し悪化していくのが特徴です。
腱板断裂は、骨と腱がこすれることなどから断裂が広がっていき、怪我をした記憶やきっかけがなくても始まっていることがあります。
「肩が痛い!」「腕が上がりにくい」という方で一つでもチェックが付いた方は、まずは病院で検査を受け、腱板断裂や他の病態が無いか確認してみて下さい!!
五十肩と診断されたら、まずはセルフケアをやってみましょう!
1週間やってみても変化がない場合は、すぐにご連絡ください(^^)!